「不通促痛」から読み解く生理痛のメカニズム ― 痛み止めと鍼灸のちがいとは?

目次

― 通じざるは、すなわち痛む ―

東洋医学には「不通促痛(ふつうそくつう)」という言葉があります。
これは「通じざるは、すなわち痛む」、つまり流れが滞ると痛みが生じるという意味です。

今日は、痛みの仕組みと、痛み止めと鍼灸のちがいを現代医学の視点も交えながらお話します。


痛みはどこで感じているの?

あなたは今、どこか痛いところはありますか?
実は「痛い」と感じているのは、です。

炎症や緊張が起きた部分から痛みの信号が神経を通じて脳に伝わり、脳が「痛み」と認識します。
つまり、痛みとは脳が作り出している体のサインなのです。

不思議なことに、手足を失っても「そこが痛い」と感じる人がいます。
これは**幻痛(げんつう)**と呼ばれ、脳が過去の神経記憶を再現してしまう現象です。

当院でも、欠損部位と同側の関連部分をマッサージしたときに「そこに感覚が戻るような気がする」と話された方がいらっしゃいました。
脳と神経は、思っているよりもずっと深く結びついています。


生理痛のとき、なぜお腹と腰が痛いの?

女性にとって身近な痛みが生理痛
下腹部や腰のくびれあたりがズーンと痛むのはなぜでしょう?

実は、子宮に行く神経と、腰や下腹部の皮膚に行く神経が**同じ脊髄の通路(胸椎11番〜腰椎2番)**から出ています。
そのため、脳がそれを「同じ場所からの刺激」として認識し、お腹と腰の両方に痛みを感じるのです。


痛み止めの仕組み

生理痛や頭痛などでよく使われる痛み止め(NSAIDs)
代表的なものに「ロキソニン」「イブ」「バファリン」などがあります。

これらの薬は、体内で痛みを起こす物質である**プロスタグランジン(PG)**の生成を抑えて痛みをやわらげます。


痛み止めを飲むと血流が低下するのはなぜ?

プロスタグランジンは「痛みの原因物質」として知られていますが、実は血流を守る大切な役割も持っています。

  • 血管を広げる

  • 胃や腎臓の粘膜を保護する

  • 子宮や筋肉の血流を保つ

NSAIDsはこのプロスタグランジンの働きを抑えるため、
一時的に痛みは取れても、血管の拡張作用が抑えられ、血流が低下します。

🔻具体的な影響

  • 末梢の毛細血管が収縮 → 手足や子宮まわりが冷える

  • 腎臓の血流が減る → むくみや水分循環の悪化

  • 骨盤内の循環が滞る → 生理痛や冷えの再発

つまり、「痛みは取れたけれど、冷えや滞りが残る」状態になりやすいのです。


鍼灸でアプローチできる“自然の鎮痛システム”

鍼やお灸をすると「気持ちいい」「体が軽い」と感じます。
このとき、脳の中では体内の鎮痛システムが働いています。

🧠 鍼灸で分泌される脳内物質

  • エンケファリン(Enkephalin):痛み信号をブロック

  • エンドルフィン(Endorphin):「脳内モルヒネ」と呼ばれる強力な鎮痛物質

  • セロトニン・ノルアドレナリン:自律神経を整え、心身の安定を促す

これらが働くことで、脳の「痛みブレーキシステム」=下行性疼痛抑制系が活性化し、
薬に頼らず、自分の力で痛みを和らげる状態をつくります。


お灸の温熱効果で血流と免疫を高める

お灸の温かさは、単なるリラックスだけではありません。

  • 🌿 血管拡張作用:温熱で毛細血管が広がり、血の巡りが改善

  • 🌿 免疫亢進作用:白血球の働きが高まり、自己治癒力が上がる

  • 🌿 副交感神経の活性化:リラックスが深まり、ホルモン分泌も整う

つまり、お灸は「血を通し」「流れを整え」「痛みを起こさない体」に導く働きがあります。


薬で止める痛み、体で鎮める痛み

比較項目 痛み止め(NSAIDs) 鍼灸・お灸
鎮痛の仕組み 痛み物質(PG)を抑える 脳内鎮痛物質(エンドルフィン等)を促す
血流への影響 抑制・収縮(冷えやすい) 促進・拡張(温まりやすい)
免疫・炎症反応 抑制的に働く 自然治癒力を高める
自律神経 交感神経優位(緊張) 副交感神経優位(リラックス)
効果の持続 一時的(数時間) 体質改善的(持続的)

痛み止めは「スイッチを切る」アプローチ、
鍼灸は「スイッチの感度を整える」アプローチです。


東洋医学の言葉で言うなら

「通ぜざればすなわち痛む。通ずればすなわち痛まず。」

気血の滞りを整え、全身をめぐらせることが、
結果として痛みをやわらげ、体を軽くします。


まとめ

  • 不通促痛=流れが滞ると痛む

  • 痛み止めは痛みの伝達を止めるが、血流も抑える

  • 鍼灸は体内鎮痛物質を増やし、血流と免疫を整える

  • 「痛みを止める」から「痛みにくい体をつくる」へ


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